胆道閉鎖症の子どもを守る会(以下、BAの会)は1973年にアメリカから胆道閉鎖症の手術のため来日した生後8か月のテレサローズちゃんを助ける会の発足が始まりです。

以来患者家族の支援活動を50年以上にわたり続けています。その間、お互いに支え合い、患者とその家族のQOL向上のための施策、制度、法律の制定などの実現に努力してきました。

胆道閉鎖症の啓発活動

早期発見・早期手術

便色カラーカードを母子手帳に記載が実現

胆道閉鎖症は、早期に発見し治療することが最大の課題です。胆道閉鎖症を早く見つけるため「母子手帳」に“白色便と黄疸をみたらまず胆道閉鎖症の検査を”という一項目を記載してもらうよう厚生省に働きかけ、1987年に記載が実現しました。

続いて記載内容の改正と便色カラーカードの普及に取り組みました。各支部が自治体に対して配布の要請をするとともに、厚生労働省にも母子手帳にカラーカードの記載を働きかけてきました。カラーカード記載を求める熱心なお母さんの強い働きかけもあり2012年の母子手帳改訂に合わせて記載が実現しました。

「カラーカード記載を求める熱心なお母さん」たちは、肝ッたママ’sさんのことです。

USBAによるマススクリーニングの研究

胆道閉鎖症の診断法として尿中胆汁酸の計測による検査法があります。この検査を新生児のマススクリーニングとして行い、確実な早期発見に繋げるという研究会が2004年に始まり、各地で早期発見フォーラムを開催、普及啓発を行ってきました。現在、沖縄や長崎で普及しつつあり、沖縄では成果もでてきています。

病気の理解のための活動

学習会の開催

BAの会は1974年の第一回胆道閉鎖症研究会に参加以来、会として病気の理解を進め、日々の相談活動に役立てています。また、毎年行われる支部総会や、各地の支部会には胆道閉鎖症の治療に携わる先生に参加していただき学習会をしてきています。

現在、多くの患児が肝移植をうけていますので、不定期に「移植医と語ろう」学習会を開催し、移植医療の勉強を続けています。

書籍の発行

病気の理解増進のため、「胆道閉鎖症のすべて」などを出版
1986年11月 初版発行
1992年7月 第2版増補改訂版発行
2002年2月 第3版発行
2013年5月 第4版発行

臓器移植の推進

脳死・臓器移植シンポジウムの開催・請願署名などの実施

1986年日本の女の子がアメリカで肝蔵移植に成功、1987年にはBAの会の患者家族会員がオーストラリアで初めて脳死からの移植をうけ、その後多くの患者が次々とオーストラリアに渡り移植をうけました。受け入れ先の豪州ブリスベーン王立子ども病院の危機を救うための募金活動もおこないました。BAの会は国内で移植が出来るようにするための活動を開始しました。

生体肝移植の実施と拡大

1989年、杉本裕也ちゃんへの生体肝移植が実施されました。それから7カ月後の1990年6月京都大学で実施、次々と生体肝移植が実施され始め、移植が現実的な医療の方法として道が開かれはじめました。

しかし、生体肝移植は健康な人(家族)にメスを入れるという倫理上の問題が残ります。

この問題の解決には亡くなった人から臓器を提供していただく以外になく、脳死を人の死とした脳死移植の実施を実現しなければなりませんでした。

臓器移植法の成立

BAの会は移植シンポジウムや学習会を継続する一方、1994年から97年にかけて厚生省への陳情、要望等の提出請願書の提出、国会への働きかけを行い、臓器移植の法制化への活動を強化していきました。「臓器移植推進連絡会」も結成され、BAの会も参加し活動、「臓器の移植に関する法律」が成立、1997年10月施行されました。

脳死・臓器移植の改正

臓器移植については「家族」による意思確認で臓器提供を可能とするよう臓器移植法の改正を国会に要請してきましたが、2009年、法改正が実現、15歳未満の臓器移植の道が開かれました。

患者家族のQOLの向上へむけての活動

医療費の公費負担制度の確立へ向けて

若い家庭にかなりの負担を強いていた医療費を公費負担にして欲しいという切実な願いがもとになり、35,000人以上の署名を集めて国会請願や厚生労働省との度重なる面談を続ける中で、1983年12月小児慢性特定疾患と認定されました。あとに続く患者や家族に朗報がもたらされたのです。

小児慢性特定疾患の法制化

「難病の子ども支援全国ネットワーク」の親の会に参加する患者団体と協力、厚生省母子保健課と折衝を重ね、医療費の一部を負担することにはなりましたが、2015年の児童福祉法改正で小児慢性特定疾病医療費助成制度は法律に基づく安定的な制度になりました。

肝臓移植者(移植後抗免疫療法を継続実施している患者)は障害者手帳1級に認定

国に対して、胆道閉鎖症を指定難病(特定医療費助成制度)の対象疾病に認定するよう要請するとともに、内部障害として認めるよう働きかけを繰り返し行ってきました。

障害認定については、薬害肝炎の国の責任問題もあり、2010年から重症肝機能障害が内部障害として認められ、国会議員に強く陳情したこともあり、肝臓移植後、抗免疫療法を受けている患者は1級に認定されることになり、医療費の負担は大きく改善されました。

指定難病について

難病患者が治療費や福祉の支援を受けられる制度にするため、厚労省は2010年から新しい難病対策の検討にはいりました。

他の団体とも連携をし、国に公平公正な難病対策の実現を訴えました。

2015年7月、指定難病の対象疾病(306疾病)に胆道閉鎖症が加えられたことで、ようやく特定医療費(指定難病)の対象になりました。

しかし、重症度基準に満たない軽症者には難病患者であると証明できるものはなく、その後も要望活動を続けました。2024年4月施行の指定難病登録者証は、軽症者の患者が福祉や就労などの支援を円滑に利用できるように交付されました。

障害基礎年金の支給請求促進

BA患者の状況は年々改善されてはいますが、入退院を繰り返す場合も多々あります。また20歳をこえる患者は会員868名のうち619名となり(2024年7月現在)、就労等の困難をかかえています。こうした場合社会保障制度の一つである「障害基礎年金」の適用が可能となってきます。生活権を保証するものとして、年金支給の請求を行うよう助言と指導をすすめています。

難病法成立後

難病法の施行(2015年1月1日)及び5年後の見直し(実際には2022年成立)については、軽症者登録制度は実現しましたが、多くの問題が積み残されました。

当面の課題と将来に向けて

医療費の負担軽減と福祉サービスの充実

20才以上の患者が600人を超え、医療費の負担や、就労の問題は喫緊に対策が必要です。BAの患者が安心して治療し生活出来る制度になるよう国と折衝し訴えていきます。

青年部の本格的活動

2001年に「青少年部」を設置しましたが、親睦が主な活動でした。2011年には定期的な会合が開かれるようになり、その結果、2012年には成人患者の実態調査を行なうなど本格的な活動がスタートしました。現在では、青年部専用のLINEグループを使った意見交換、情報共有も行なっています。

以上がこれまでの活動とその成果ですが、まだ多くの課題があります。
BAの会は、患者とその家族のQOL向上ため活動を続けてまいります。